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2016年1月29日金曜日

真空調理 / 低温調理 / sous vide / のススメ

sous vide

フランス語で真空調理法。
1979年にフランスで~という話はおいておいて。

数年前にアメリカで安価な sous vide マシンが発売され、そこそこ流行っているようです。
当初からは随分簡略化されまして、定温に維持した水槽に脱気パックした素材を入れて加熱する調理法となりました。
こんなやつ。





発音もアメリカ発音で、カタカナで書くとスーヴィードという感じかな。
フランス発音は知らん。
日本語での検索キーワードは、スーヴィード、スービークッキング、真空調理、低温調理、定温調理、あたりで。


真空調理というより、定温調理や低温調理といった方がイメージに合うのではないかと。

ちなみに、元々の真空調理の真空(低圧)を活かした調理法も別に発展しています。
減圧を利用して液体を染み込ませるスー・ヴィード・カクテルなんかもあります。

スー・ヴィードの名は君たちにこそ相応しい。
僕はスビドるでいいですw


sous vide の基本と原理

sous vide のポイントは二つ
  • 一定の温度を保った水に
  • パックして空気を抜いた食材を沈める
それぞれ理由があります。

温度を保った水 (恒温水槽)

ここで重要なのは、温度を保つことです。
sous vide はあくまでも手段。目的としては例えば肉を62℃で調理したい、というものです。
ここで62℃というのは様々な理由があるのですが、それは各素材個別の理由になりますのでここでは深追いしません。

従来の加熱調理、例えばフライパンで焼く、沸騰した水で煮る、オーブンで焼く、等々で肉の中を62℃にしようとするとかなり大変です。
フライパンで焼いて表面に肉汁が出てきたらとか、オーブン200℃で5分焼いて15分冷ます、など、精確に描写しにくいレシピになります。しかも肉の厚みや気温・湿度によって変わってくるので熟練の経験の世界です。そして頑張って肉の中心温度を62℃にできたとしても、表面温度は80℃とかになってしまう。

sous vide ではこのアプローチを変えます。
62℃の水を用意し、そこに食材を入れる。
そのまま時間が経てば、熱伝導の原理により食材は外側から中心まで62℃になります。63℃になったりしません。
媒体は水でなくてもいいのですが、扱いやすさ、温度管理のしやすさ、熱伝導率の高さなどから水がとても適しているので使われています。


パックして空気を抜く

パックする理由は、水が調理に影響を与えないようにするためです。
そのまま入れたら煮込み料理になっちゃいますから。

空気を抜くのは、空気の熱伝導率が低くて効率が悪いからです。
10倍とか時間をかけてもいいのなら空気パンパンでもいいです。というかそれなら水じゃなくて空気を媒体に、つまりオーブンを使えばよいです。

空気はある程度無くせばかまいません。
真空調理といいますが、この真空は科学的に言う完全真空のことじゃありません。単に大気より空気が薄いことです。
調理に問題がなければ液体を入れても構いません。オイルや調味料を入れて味付けをしつつ sous vide 調理するのはとてもよくある手法でもあります。


sous vide のための道具

上に書いたように、sous vide の基本の二つを実現するためのそれぞれの道具があります。

恒温水槽

手動

もっとも追加投資が不要なやり方は、手動での温度管理です。
鍋に火をかけて温度計を入れる。温度計を見ながら、火を付けたり弱めたり消したりするだけです。
要求される温度幅が広く、かつ時間も短いレシピなら現実的に可能です。
sous vide のお試しによいでしょう。


炊飯器(保温モード)、スロークッカー、ヨーグルトメーカー

これらの調理器は、温度変化を小さく維持する機能を備えています。
レシピの要求する温度幅を満たせるならば、これらを利用することもできます。

炊飯器は多くの家庭にあるでしょうからお試しに良いでしょう。
ただ結構温度変化するので、とくに食中毒の危険温度にならないよう気をつけてください。

ヨーグルトメーカー、とくにヨーグルティアという製品はかなりの精度で温度を維持できます。
価格も7千円前後、と sous vide 用デバイスに比べると安いので一歩進んで本格的にやってみるには良い選択かと思います。

sous vide デバイス

ヒーターと温度計、温度を調節する仕組み、そして温度差を無くす撹拌器から構成されます。

anova precision cooker などの棒状のものや、sousvide supreme などの容器状のものがあります。
まだ日本で販売している製品は無く、個人輸入になってしまうのでハードルは高いかもしれません。
価格的にも、輸送費や輸入マージンを除いても棒状のものは百ドルちょっと、容器状のものは数百ドルとそれなりになります。

ある程度大きなサイズで使えますので、大量に sous vide するようになったら検討してみてください。
また、1℃未満の温度差で維持してくれますのでより精密な調理が可能となります。
仕組みは単純なので、日本のメーカーも開発してくれるといいんですけどね…。見てたらぜひともお願いします。


腕に覚えがあれば自作することもできます。
何人か作り方や温度調整プログラムを公開されてますので調べてみてください。
ただ、撹拌機能は省いているようですので、あまり大きな水槽だと温度差が出ちゃいそうです。


水槽

水が入ればなんでもいいです。
お手持ちの鍋でも、プラスチック製のフードストッカー、ガラスの水槽からはたまた風呂桶でも。

食材に直接水は触れませんので、危険性はあまり考慮しなくて大丈夫です。
もちろん対象温度で溶けちゃうような素材ではダメですが。

また、sous vide デバイス毎に対象となる最大容量がありますので、それを超えてもいけません。

個人的なお勧めは、透明なプラスチックケースです。
調理中の食材を容易に確認できますし、アクアリウム用のダミー水草などを入れると見た目も映えます;-)

パック

ziplock などの調理用密閉袋

袋に入れて空気を抜きます。
袋は密閉できれば何でもよいですが、レシピの水温に耐えるものを選びましょう。
また、sous vide 後にそのまま冷凍保存する場合は当然ながら耐冷なもので。

素材の水気が出ますし、温度によっては雑菌が繁殖しますので、再利用はお勧めしません。

空気を抜くにはストローなどで吸引するか、水に浸けてアルキメデスの原理により空気を追い出すかでよいです。




脱気シーラー

真空パックとか脱気シーラーとか呼ばれる製品群。
sous vide 用というよりは、素材の保存目的で使われることが多いです。

コンパクトタイプで数万円、チャンバータイプで十万円クラスです。

チャンバータイプは高性能なのですが、いかんせん高いし場所も取るので現実的とは言いがたい。
コンパクトタイプは手動よりもシールも脱気も確実で良いのですが、水分をうまく扱えない欠点があります。



密封ビン

infusion やヨーグルトなど、液体を sous vide する場合にはビンも使えます。

胴部分だけ水に浸すなら蓋が開いているタイプでもよいですが、手間なのでお勧めはしません。
密封できるビンの方が楽です。

自分はちょっと前に流行ったメイソンジャーがあるのでそれを使っています。


オススメ料理

個人的オススメはサーモンです。
時間が短いし多少温度前後しても問題ないので、SV機買う前に手動で試してみるにも打って付けです。
そして出来上がりはあまり食べたことある人少ないのではという美味と食感。
sous vide ってどんなの?と疑問の方は一度試してみてください。

肉も sous vide の例として有名なのですが、熟練の経験で同じくらい上手に焼けますし、自分でレア焼きに挑戦したことのある方でないと分かりにくいかもしれません。

少しマニアックですが、infusion も手軽でおすすめです。
オリーブオイルにガーリックや、グレープジュースにカルダモン、ウォッカにレモンの香りつけてみましょう。



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