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2016年3月29日火曜日

sous vide 豚バラ(角煮)

豚角煮

角煮は簡単でありながら奥深く、今日も誰かが究極の角煮を求めて研究をしていることでしょう。

豚バラブロックを大きめの四角形に切って、醤油味醂ベースの調味液で煮立たせる料理。
肉が箸でほどけるほどに柔らかく、味が染み込んで、パサパサになっていなければ勝ちです。

手法は大きく二つ。
一つは圧力鍋で筋繊維を壊して柔らかくし、その破壊後に調味液を染みこませる方法。
もう一つは弱火で長時間煮込んで柔らかくし、さらに冷ます際に細胞が縮んだ隙間に調味液を染みこませる方法。
弱火長時間の方法に sous vide でまかなえないものだろうかと。奴ら平気で36時間とか調理するし。

下ごしらえ

  • 豚バラ肉を一日ほど brine
  • 一口大に切ってジップロックに入れる
  • 醤油25ml、味醂25ml、砂糖25g の調味液をジップロックに入れる
    4パック作ったので、100ml,100ml,100g を4分割した
  • 浸水法にてパッキング


実験1 77℃9時間

1. SV 77℃ 9時間


に出ていたパラメータ。
別に調べた所、77℃はアクチンの至適変性温度のようだ。

2. 20℃の水に30分

上に書いたように角煮は冷やす時に味が染みるので、冷やしてみた。
ここは有り無しの対照実験すべきであったな。


3. 電子レンジであたため

2の時点で食べてみたけど肉が硬かったので少し温め。

結果

脂身はよく調理されている。
肉にも味は染みているようだ。
肉は固い。レンジで温めてもまだ固い。まぁ不味くはないがマイナス。
ブラインのおかげか、調味液が入ったか、水分は保っている感じ。
ゼラチンはあんまり感じなかった。

肉の固さは、アクチンの変性のせいか、冷やしたせいか、コラーゲンが未変性なせいか、どれかかな。
10時間調理なら朝に仕掛けて夜に食べられる、扱いやすい調理時間なので、これで美味く作れれば嬉しいのだが。

あ、あと調味液はちょっと甘かった。砂糖の量は減らしてよさげ。


実験2 68℃32時間

brine あんまり効果なさそうなのでやめてしまう。

68℃32時間。上のリンクで挙がっていたやつだ。




固さは随分少なくなった。
調味液を吸っている外郭部分が固くなっている。
右の写真見て分かるかな?調味液はあまり浸透せず。

脂身はしっかりと溶けていて美味い。

brineサボったせいか、長時間やったせいか、パサパサ度は増した。
しかし肉の柔らかさは大きく、77度と比較すると総合的にはこちらの方が美味しい。僅差。




実験3 70度12時間

実験1,2の間をとってみた。




脂身が全然未調理で数個食べればきつくなってくる。
もっと時間を掛ける必要がある。

柔らかさ、パサパサ度は悪い方に揃っている感じ。
70度ならアクチン変性しないかなと期待したけど変性しちゃったぽい。
アクチン変性しちゃうなら77度で短時間で作ったほうが良いであろう。


実験4 豚肩ロースブロック77度11時間


豚バラとあんまり変わらない。
食べ比べれば違いはあると思うけど。


肩ロースだとバラよりも脂が少ない。
角煮では脂身がよく調理され一番美味しい部分であるので、バラの方が良い感じである。



まとめ

結局77℃8-11時間くらいが十分に美味く、時間もさほどかからないので一番やりやすい。

特に8-11時間というのは、朝浸けて夜に、夜浸けて朝に食べるのにちょうどよい時間。
少し多めにブロック買ってきて、一口サイズに切って調味液と一緒にパックして冷蔵庫に入れておけば、出かける前に仕掛けるだけで帰宅時にすぐに食べられる。

まだ温度や調味液に工夫の余地はあるけれど、とりあえず一区切りついたと言ってよかろう。





2016年3月12日土曜日

豚ヒレブロック


豚ヒレブロック


筒型の長いヒレブロックがハナマサに置いてあって気になっていた。

全体像は写真撮り忘れてた。下の方で調理後のがあるからそれを見て。






パック

手持ちの水槽にちょうど入る長さだったので、切らずにそのままいってみる。

真空包装して売ってあるんだけど、どの程度の強度か分からんのでその
上にパックする。

Sous vide 59℃12時間

ちょっと長いので安全めで高温長時間。
熱の伝わりにくさは厚みの問題なので、長い分には関係なさそうであるが。


パックの外からの状態。



袋から取り出して、ラップを剥がしたところ。
肉汁も漏れず、空気も無さそうにぴっちり包装されていた。
これならパックしなくてもよさそうだ。



仕上げ

表面はちょっと白っぽい。


どうしようかと悩んだが、オーソドックスに表面を炙った。
一本物と見えたのは実は二つの部位を張り合わせてあったようだ。



中身、というか合わさっていた境界面。
赤味がかっていて、59℃ぽい感じである。


食べ方も考えていなかったので、薄切りにする。


ちょっと水分少なめかな。
ブラインやってなかったせいもあるが、それよりも時間長かったせいであろう。
豚ブロック59℃だと8時間くらいがちょうどよさげ。



いただきます

そのままだと豚の味のみ。水分少なめでちときつい。

食感は柔らかい。
豚の長時間だと煮物のイメージだけど、これは崩れるわけでもなく、といってハムのように弾力が強くもなく。素直に柔らかい肉。

味は豚のあの味。肉の旨味と甘みがあるけど、淡白で臭みもあるので量はきびしい。それに乾いてるし。
しかし塩や焼肉のタレを付けるだけで食べやすく美味しくなる。
煮物ぽくなんかタレに付けとくといいかなー。トンカツにしてもよさそうである。

SV中にタレ浸けできるとすぐに食べられてよいのだが、
今回は真空包装で買ってきてそのまま水槽にドボンという手軽さが売りなのでそれは無理。
大きめで買うと単価お得だしね。

手間かからない SV は下ごしらえと考えて、その後の調理を考えたほうがよさそうである。
なんかいいメニューないかな。




2016年3月7日月曜日

豚肩ロース10時間 ブライン比較

豚肩ロース

前もやったっけな?
脂身もそこそこあって、やりやすい部位です。

今回はブラインの有無で比較実験しました。


材料

  • 豚肩ロースブロック700gほど


レシピ

1. 片方を1%平衡ブラインする

時間の都合上、2日弱になりました。
なんかブラインした方がすでに柔らかくなっているような…。
そういえば気にしてなかったけど柔らかくする効果もあるんだっけ?




2. sous vide 準備

長時間やる時は先に表面をトーチで炙っとくようにしてます。
表面を焼いて肉汁を出にくくするため…というのは迷信らしい。

脂身を焼いて調理中の匂いを減らすことと、
乳酸菌など好熱性の細菌が増えて臭いを付けるのを防ぐためです。


ブラインの影響を見たいので、パッケージに入れるのは香りづけのローズマリーのみで。



3. sous vide. 59℃10時間

最初6時間で引き上げてみたところ、ブラインしてない方がちょっと硬い感じであったので伸ばしました。




4. 引き上げて少し冷ます

フィニッシングに熱を入れる際は、引き上げ直後にやると SV 温度プラスアルファになっちゃいますから冷まします。
後、熱で膨張した細胞の間に調味料が入るので、温度が下がる時に味が染みこむとか。

ただ今回はフィニッシングサボったので、冷まさなくてもよかったかもしれない。



結果

ブライン無しのもの。



ブライン有りのもの。



比較。左がブライン無し、右が有り。


どうもブライン無しの方が赤っぽくて美味しそうだ。
水気はどっちもありそうである。


食す。
ブライン無しの方は、硬いというほどではないが弾力がある。
コリコリして、焼き肉のタンみたいな食感。
味は肉のあのちょっと生臭い味ですな。
水気は気にならないけど少ないといえば少ないかも。

ブライン有りの方はひとくち柔らかい。
口の中でほろりとほどける一歩手前くらい。
味は臭み無くて薄め。かすかに塩味がするかも?
水気は十分。

そのままで多く食べるならブライン有りの方が良い。
適当な調味料付ければどちらも美味い。方向性に違いはあるが甲乙付け難し。
自分で作るなら、手間を考えるとブライン無しの方がよいかな。

脂の少ない部位だともっと顕著に差が出るかもね。


2016年2月20日土曜日

sous vide 豚肩ロース + トンカツ

トンカツ

SVはローストポークと同様に行い、フィニッシングにフライにします。
SV 鶏からと同じですな。



レシピ

0. SV完了

ローストポークと同じなので略。

1. 少し切る

そのままだと大きいので切ります。
厚くなるように切ってもいいけど、今回は平たく。
とはいえ二枚切りなのでかなりの厚さ。




2. ころもを付けて揚げる

ころも苦手なんだよなー。


フライヤーは山善の電気フライヤー。
ガスだと事故が怖いので電気フライヤーおすすめですぞ。

肉に熱を通す必要はないので、揚げるのは30秒程度。
ころもを揚げるだけならフライヤーでなくとも簡単な方法ありそうだなぁ。



3. いただきます

揚げる時に肉に熱を通す必要がないので、いくらでも厚くできるのが sous vide フライのメリット。
なかなか。




sous vide 豚肩ロース + ローストポーク

豚肩ロースブロック


肩ロースはそのまま加熱すれば脂身も柔らかさもほどよく仕上がる。
モモやスネみたく、あんまり工夫しなくてよいので楽。
加えてブロック肉は内外の温度管理が難しいので sous vide 向きです。
比較的安いのもグッド。

材料

  • 豚肩ロース


レシピ

1. 平衡ブライン1%1dちょい

あの牛モモ肉長時間で水気を保てたブライニングの威力に感動した僕はすっかり信者です。
ブロック肉やる時は常にこれ。

比較はしてないけども、以前 brine 無しで 12時間やったときは少し水気足りない気がしたから、そこそこ効果あるんでないかしら。

水と肉の合計重量に対して1%塩水に一日ほど浸けます、と。



2. sous vide 59℃12時間

安全に倒して時間長めに。
brine のおかげで水気はあまり気にせずにいける。

各SVサイト見ていると 5時間くらいでもよさそうである。
10cm幅の肉を冷蔵庫から湯に浸けて中心温度が50℃付近に達するまで5時間。


加熱には調理以外にも殺菌の要素もあるわけで、特に豚は寄生虫が気になる。
ウイルスや細菌は牛と同じだし表面だしでこの温度でも安全は確信しているけども、
寄生虫についてはあんま調べてないのでちゃんと調べます。
これは豪産豚だから、日本ではいなくてもあっちにいるやつとかいるかもだしなー。


3. 冷やして切って食べる

ちょっと用事があったので、パックのまま冷蔵庫に突っ込んで数日放置。
先ほど切っていただきました。
表面だけトーチであぶって、冷たいまま。



味も水気もあって柔らかくて美味しい。
そのままでもいけるし、とりあえず醤油でも良し。色々合いそう。
SV中に調味料浸けても美味しそうですなー。


2016年2月10日水曜日

sous vide 牛バラ #2

牛バラ #2

前回はやや筋繊維残り気味だったので、48時間で再挑戦。
ついでに brine もしてみよう。



Brine1日 + SV56℃ 2日

Brine 前に最初に表面炙ってあります。
ホントは SV 前にするつもりだったのだけど間違えた。

Brine は普通の塩水1%のみ。
SV ではローズマリー片とニンニク片を入れました。



表面もう一度焼いて、今回はステーキ風に平面に切りました。
良い感じの56℃カラーです。




Brine が効いたのか水気もたっぷり。




ぱくっ…脂っこい。きつー。
シーズニングは脂気を消せる塩が良い感じ。

味は特に。まぁどっちかというと美味い?
ローズマリーのおかげか獣臭もせず。
薄味で、何か味付けした方がよさそうかな。

48時間でもまだ筋繊維があるような。
これ以上は無理かな。
ちょっと狙えばすぐ噛み切れるので、ストレスになるほどじゃないです。

水気はたっぷり。脂のおかげか、ゼラチン化したのかはよく分からない。


加熱はこれで良さそうだけど、美味しく食べるにはさらに調理した方がよさそうです。
煮込みに合いそうだが、さらに温度に気をつけて煮込むのも何だかという気もする。
味だけ染みこませれば…SV時にタレに浸けておくのがよさそう?

科学実験は楽しいんだけど、美味しく味付けるのはあまり関心が向かないんだよなw
何か良さそうな食べ方あったら教えてくれるとありがたいです。

ともかく、長時間調理でのコラーゲン分解しつつ水気を維持する目的はひとまず達成された感。
次からは美味しい部位を探そうか。


2016年2月9日火曜日

sous vide ヨーグルトその2

The Science of Great Yogurt

とかいうサイトを発見。

なんでも牛乳を90℃で10分あたためることでタンパク質を変性し、濃く、酸味が少なく、滑らかなヨーグルトになるらしい。

また40℃以下で発酵させることで、このタンパク質の形体を安定させることができると。
さらに30℃であれば乳清の分離も少なくてすむ。

これはやってみるしか。


レシピ

0. 煮沸消毒

今回は長時間になるのでちゃんと煮沸消毒。

1. 牛乳を90℃に10分保つ



10分でも手動で維持するのは面倒だった。
次からはここも SV にするかね。

2. 適当に冷やす

このままヨーグルト菌入れても死なないらしいけど、どうせ30℃にするので先に冷やしましょう。
90℃をいきなりメイソンジャーに入れると割れる危険あるし。

室温に放っておくだけです。



3. ヨーグルト入れてSVる

R1ヨーグルトの液体タイプを半分ほど入れました。
軽く振って混ぜて、30℃12時間放置。

件のサイトには、最初は50℃で発酵進めてから30℃に落とすことで、総時間を2-4時間に短縮できたと書いてあるけども。
このまま寝るので30℃でいきます。

雑菌が気になるが、多分ヨーグルトの菌が多いから競争に負け、また酸にも弱いのでさほど殖えないんじゃないかしら。どうなんだろ?

4. 冷蔵庫で冷やす

開けてみたところ、前みたくきっちりと固形にならずに滑らかな液体と固体の中間ぽかった。
味も酸味少なし。ちゃんとできてるか不安。

5. 完成

なめらかー。
習慣的にジャムを載せたけど、単独で甘みがある。酸味はほとんど無し。

プルンとして酸っぱいのも美味いけども、これは好みの差を超えて数段上の出来。
市販品でもこのタイプはあまり無いんじゃなかろうか。オススメ。










2016年2月7日日曜日

sous vide チョコレートテンパリング

チョコレートのテンパリング

2月になるとチョコの話題が多くて気になる。
いや別に貰えないのは別にいいんですが別に。

温度管理が重要らしいので SousVide で簡単にできるのではないかと。
女子力に革命をもたらすことができるのではないかと。

さてさてチョコレート、正確にはココアバターはいくつかの結晶の型があり、融点の低い順にI~VI型に分類されます。
このうち、I~IV型の結晶は密度が小さく粉っぽい食感。V型は滑らかな口どけとパリっとした食感。VI型は融点が高くて口の中で溶けにくく、結晶が粗いのでザラザラした食感。さらにファットブルームを生じる。
チョコレートのテンパリングは、温度を制御して V 型の結晶を作る作業です。

基本的にはIV 型の融点(28.4℃)以上V型の融点(33℃)以下の温度を維持します。
が、結晶化の仕組みは複雑で、それだけではV型が十分に多くはできない。

まず、結晶は核となる小さな結晶が成長して形成されます。
温度を上げる過程で I~IV型の小さな結晶が残っていたら、その結晶が成長してしまいます。

また、結晶化時には力のかかり方でもできる結晶型が異なります。
適度に撹拌することでV型結晶ができやすくなります。

と分かってるように書いたけど、まだ分からないこと多いみたいなので鵜呑みせずに。


材料

  • 市販のダークチョコレート
ミルクチョコなどは融点が違うので注意。基本のダークチョコレート。
製品によっても差異がありそうだが、安かった meiji の板チョコで。




レシピ

seriousseats.com の Kenji のレシピでやってみました。


1. チョコをバッグに入れてシール。

別に砕かなくてok.


2. 46℃で溶かす

数分で溶けます


3. 27.5℃まで急冷する

氷入れたり水入れたりして冷やす。
下げ過ぎない方が良いと思うが、別レシピだと22℃とかにしてるので別に問題なさげである。

水温到達してもチョコの温度が達するまで五分ほど維持で。

ちなみに下げる時の温度変化が急な方が結晶化が速く進行し、かつ融点の高い結晶ができやすいらしいぞ。




4. 32℃まで上げる。一分に一回くらい手で揉む。

I~IV型の結晶を壊すため? V型結晶を作りやすくするため?
よく分かんないけど、適度に混ぜないとうまく結晶化しないみたいです。



5. 32℃で5分ほど待つ

32℃到達しても何回か揉んでおく。
で、チョコの温度が達するまで5分ほど。

長時間この温度のままにしとくほど出来が良く長時間持つらしいです。


6. 常温で固める

型が無かったのでジップロックのまま、バットを載せて平らに固めました。

型に入れたり、そのまま何かに使う場合は、袋の端を切って即席の絞りにすると良いですよ。





7. 完成

凹凸ができてしまったが、これはバットにペットボトルでは均等に重しにならなかったからかね。
ブルームはできていないし、パリっとしてて成功かな?






8. いただきます

そういえば僕は別にチョコはそんな好きではなかったんだ。
何かいい料理ないかしら。









2016年2月3日水曜日

sous vide クレームブリュレ

クレームブリュレ


クレームブリュレは、温度が低いと固まらず、高いと固くなりすぎ、また温度上昇が速すぎると気泡(ス)が入っちゃったりと難しいらしい。らしいと言うのは普通に作ったこと無いので伝聞だからだ。

ゆっくりとした加熱や細かい温度管理・維持となれば sous vide の出番です。

材料

chefsteps のレシピをベースに、量数少し変更。
  • 卵黄180g (L卵 9つ)
  • 砂糖 65g
  • 塩 3g
  • ホイップクリーム 650g (メグミルクの植物性油脂40%ホイップ)
元レシピで卵黄160gだったのを勘違いしてて180gに。
全体的に1割ほど増やしてます。
この量で 8oz (240mlくらい)メイソンジャー5つだった。

砂糖は元レシピでは 90g だけども、前回作った時に甘すぎたので少なめにしました。

生クリームは元レシピでは heavy cream. はアメリカの規格で乳脂肪分36%以上らしい。
暗黙に動物性なんだろうけども、二回目なので植物性で試してみました。


レシピ


1. 卵黄に砂糖と塩を入れてかき混ぜる

滑らかになればok. こんなもん?

2. クリームを70℃に温める



3. 卵黄をかき混ぜながらクリームをゆっくりと注ぐ

速く注ぎすぎると表面の泡ができて、また高温で卵が固まってしまう。
速すぎるくらいなら、遅すぎた方が良いだそうです。


4. 濾して30分ほど動かさずにおく

漉し忘れた。なめらかになるっぽい。
おくのは表面の泡が弾けて消えるのを待つために。

振動を吸収するためにはタオルで窪みつくってそこにボウルの底を当てるとよい。




5. 容器にゆっくりと注ぐ。

泡を作らない。
できちゃったらスプーンで掬うかトーチで軽くあぶる。

容器は自分は8ozのメイソンジャーに首の付け根くらいまで入れる。
あまり空気層が大きいと浮いちゃうので注意。
温められた空気の逃げ道を作っとかないと最悪割れるので、蓋は締めすぎない。一度普通に締めてから緩めて、今度は緩く締めていって抵抗あったら終わる感じで。

ラメキンなど開放型の容器は、SVで容器の半分くらいまで浸るように水位調整すればいける。





6. SVる。80℃1時間。


7. 冷まして冷蔵庫へ。

冷ます時は例によって危険温度帯を迅速に抜けるように氷水。
ただ、80℃からいきなり氷水に入れると割れる可能性あるから、一旦40℃くらいに。
キッチン水道から出る湯がそのくらいの温度だからそれに浸けてもいいし、
SV水槽に水を入れていってもいい。



8. 冷蔵庫から出して食べる前にブリュレ。

砂糖を軽く振ってトーチでカラメル化。その後固まるまで冷やす。
他にも色々やり方あるようなので手持ちの道具に合わせてどうぞ。



別にブリュレしなくても食べられます。
というか無いほうが好みだな…。

味は美味しい。
甘みもこのくらいが好み。もうちょい甘くてもよいか。
濃厚さは気にならないな。書いてて思いだしたくらい。
しかし言われてみれば確かに前作った動物性油脂の方が濃厚で美味しかったかもしれない。






2016年1月30日土曜日

Brine

ブライン

肉を塩水に浸けて柔らかくするテクニック。
長時間のSVで肉汁が出てパサパサになってしまう問題への対処法を探して発見しました。

このページがとても科学的に説明してくれている。
よくある間違いにも触れているし、軽く翻訳しときます。



ブラインとは何か、どういう原理なのか?

食品、特に肉を塩水に浸ける手法。
ブラインした食品には主に3つの恩恵がある:
  • テクスチャの改善。とくにタンパク質をブラインした場合に大きい。
  • 香り付け。ブラインに使う塩だけでなく、同時にスパイスやハーブを浸かって香りつけできる。
  • 最大の理由は湿り気の維持。

ブラインでは何が起こるのか?

よくあるブラインの説明は、浸透(osmosis)のプロセスによって水と塩がタンパク質に移動するというもの。だがしかしこれは正しくない。ブラインは浸透ではなくて実は拡散(diffusion)によるもので、この区別を把握することは、ブラインの原理を理解するために重要である。

気体を真空の箱の隅に入れたら、箱いっぱいに広がっていくであろう。
十分な時間があれば、分子は密度の高いところから低いところへと移っていき、平衡に達する。これが基本的な拡散の動作である。

溶媒(水溶液の液体)は通すが溶質(水溶液に溶けてるもの)は通さない半透膜で隔てられた、濃度の異なる溶液があるとする。高濃度の溶液は溶質が多く、溶媒が半透膜を通る邪魔をする確率も高い。結果的に、濃度の低い側から高い側へと移動する溶質の量が多く、濃度は平衡へ達する。

また、浸透が起きていたならば、次の二つのことが起きているはずである。
溶質、つまり溶けている塩は大きすぎて浸透膜を通れない。が、私たちはこれは正しくないことを知っている。なぜなら肉の中身は明らかに塩味がするのだ。

二つ目。塩がタンパク質の外にある膜を通過できないならば、つまり浸透現象が起きているのならば、ブラインされた肉の中の水は、濃度の高い外のブライン液に流れ出るはずである。私たちはこれは正しくないことを知っている。なぜならブラインされた肉はよりしっとりとしているのだ。

簡単な観察から分かるように、ブラインをすると水も塩も肉の内部へと入り込む。ブラインでは浸透ではなく、拡散が起きていると結論付けられる。


ここにきて、ごく自然な疑問が浮かぶ。「香り付けは措いておくとして、何で塩が必要なの?拡散で水が肉に移動するのなら、水だけに浸せばもっとジューシイになるんじゃない?」

技術的に言えばそれでも可能である。
肉を単なる水に浸けて、肉の中の水分を増やすことはできるのだが、塩を加えた時ほど多くの水は足せない。はっきり言うと、調理過程でのタンパク質の保水能力は、塩があったほうが高い。
なんでこんなことが起きるのかは大変面白い。ここのところをさらに深く説明していこう。


ブラインのプロセスを理解する

ブラインのプロセスを理解するために、よくあるシナリオから始めよう。
骨も皮も無い鶏胸肉をブラインすることを想像してほしい。
ブライン液を作るために、塩を水に加える。

塩と言っているものは、化学的には塩化ナトリウムである。
塩が水に溶けると、正に帯電したナトリウムイオンと、負に帯電した塩化物イオンに分離する。
ナトリウムイオンは香りの主成分である。塩化物イオンはタンパク質の保水力を上げる。

次に、ナトリウムイオンと塩化物イオンが食物の中へと拡散していく。
この拡散は熱が伝わる速度よりも100から1000倍時間がかかる。
これが、豚バラ肉を焼くのにはせいぜい数時間ですむが、塩漬けしてパンチェッタにするのに三ヶ月もかかる理由である。

ナトリウムイオンと塩化物イオンが鶏胸肉中へと拡散していくと面白いことが起きる。
「塩化物イオンは筋繊維へ拡散していき、糸の表面に溜まっていく。
付着したイオンが増えていくにつれて負電位を生じ、隣の糸との間に斥力が生じて離れていく。
糸同士が離れて筋繊維が膨らむと、その空いたスペースに水が入り込む。」

上で言ったように、単なる水に浸けた肉よりも、塩水に浸けた方が保水力が高いのはこのスペースのせいである。
さて、もう一つ疑問が浮かぶ。
塩を擦り込んだのとブラインしたのの両方共ジューシイになるのはなんで?
実は、料理のドグマとして言われているところの、調理前に塩揉みした肉は大量の水気が出てきて乾燥した出来になってしまうというのは真実ではない。

単に間違っているだけではなく、タンパク質に塩を入れた時に起きることは全くの逆のことである。
「…入り込む水が周りに無い場合でも、水をより保持できるようにイオンによってタンパク質は変性する。筋繊維が縮むのに抵抗するのと同じように、調理中に水分を絞り出されるのに抵抗する。肉の膨張と保水力の向上は、塩分濃度6%まで続く。そこからは縮んでしまい、水も失っていく。」

よって、6%未満の塩分であれば、肉は調理中に縮んだり水を出したりしにくい。
現実的には、平均的な閾値は重量に対して 1%ほどである。 
5-6%の塩分のあるタンパク質が調理中に水分を維持するとしても、別にそこまで塩分を含ませる必要はない。


3つの主要なブライン方法


ブラインのプロセスについて理解したところで、様々なアプローチについて考えていこう。
学んだことによれば、タンパク質に塩を適用するのに使える 3つの主要な方法がある。

塩もみ乾燥ブライン

最初の方法は手揉みでの「ブライン」である。
前節で見たように、単に塩を含めるだけで保水力を高めることができる。ブラインが保水力を高めるのとまとめて扱って、乾燥ブラインと考えよう。

とりあえずは、タンパク質の重量に対して1%の塩をまぶせばいいだろう。
塩を揉み込んである程度の時間寝かせておき(4-48時間)、洗い流さずにそのまま調理する。
このやり方は保水力を高めて水分の流出を抑えて湿り気のある出来栄えにするが、もちろんタンパク質はちゃんと調理する必要がある。



勾配ブライン(伝統的なやり方)

次は伝統的な勾配のあるやり方を考える。
勾配というのは、塩分濃度が外側のブライン液から食品内部にかけて滑らかに下がっていくからである。
この方法を使う場合、典型的には水分量に対して 5-10% の水を使い、食品はブライン液中に 15分から数日おかれる。
外側は塩分濃度が高いので、ブラインが終わったら洗い流す。

洗い流した後はしばらく休ませて、拡散によってイオン濃度が平衡していくのを待つ。
十分に休ませたら(一般的には数時間から一晩)、だいたい平衡に達しているはずである。
これは調理後に熱が平準化するまで待つのと同じ理由である。
拡散は熱伝導より 100-1000 倍遅いので、調理後の熱を伝えるためには 5-30分ほど休ませるのに対して、ブラインの後は 2-24時間かかるのである。


平衡ブライン(モダニスト料理)

勾配ブラインが高温のオーブン調理で時間調整と直感が必要とされるのに似ているように、平衡ブラインはスービードでの温度管理の簡易さと対比できる。
スービード調理のように、平衡法は長い時間がかかるが、より精密なやり方であり、同じ結果を得るために「直感」を排除することができる。
ブライン液の塩分量は、タンパク質内部の到達する濃度と正確に同じだけであり、ブラインし過ぎことはあり得ない。

平衡ブラインのやり方

  1. 水と肉の重量を測り、骨の重さを引く。塩は骨には拡散しないので。
  2. 水と肉の重量の和に、最終的にタンパク質が含むべき塩分濃度をかける(大体は 0.5%-1% でいい)
  3. 求めた量の塩を水に溶かし、そのブライン液に肉をひたす。
  4. 塩分濃度計でブライン中の塩分濃度を測る。塩分濃度が求めたい濃度より下がったら、食物とブライン液は平衡に達したと判断できるので、ブラインは完了である。


ブライン液の塩分濃度の決め方

勾配ブラインでは水重量に対して求める塩分濃度を掛けるけど、平衡ブラインでは水とタンパク質の総量に対して掛ける。この違いの理由について説明がある。省略。


ブライン液の追加素材とブラインの速度アップ

省略。

注射器使うと速いよ。













2016年1月29日金曜日

brine + sous vide 牛モモのローストビーフ

牛モモ

仕事の関係でだいたい0時過ぎに近場のハナマサに寄っても目ぼしい肉は売り切れちゃって。
牛モモは大体売れ残ってるので、SousVide で美味くできないかと何度か挑戦中。
ただ長時間(24時間超)やるとパサパサになって食えたものじゃないのですわ。

何とかならんかとネットを漁ってたら見つけましたよ Equilibrium Brine, Sous-vide, and the World's Best Roast Beef !
究極のローストビーフを求めて42ページにも及ぶレシピメモを残した著者がその42ページ目に "Wow" という言葉と共に記した簡潔なレシピというから興味をそそる。

さて乾燥問題は解決されるのか、味付け部分は適当にスルーして試してみましたよ。


材料

  • 牛モモ - 適量
  • 水 - 肉が浸るくらい
  • 塩 - 水と肉を足した重量の1%






レシピ

1. 肉を適当な容器に入れて、肉を完全に塩水で浸す

塩の量は肉+水の重量の 0.5-2% 程度。
1%でやりました。




2. そのまま冷蔵庫で放置(Equilibrium Brine)
時間は Brine が達成されるまで…
元ブログだと 5ポンドで5日とか言ってるので、500グラムなら1日あればよいであろう。

Brine には Equilibrium 以外のやり方もあるので、時間や濃度は手法に合わせてで。


3. Brine 終わったら水洗いして表面の塩分を落とす

4. パック。
一緒に色々入れているな。
  • beef tallow って牛脂?無いのでバターで代用
  • beef bone mallow …骨髄? 無いのでスルー。
  • yellow onion もパス。
  • smashed = 潰したニンニクを 3片…肉が少ないので2片。
  • ブラックペッパーの ground …は挽いた粉末かな。パウダーがあるので大さじ1
  • タイム…も無いのでローズマリー片を適当に。
入れてジップロック空気抜き。



5. SVる。56℃48時間。

ニンニクの匂いが充満するので換気扇。


6. SV終わり。水洗いしてローズマリーを流し、そのまま少し冷ます。



7. トーチで表面焼き。また少し冷ます。




8. この間にグレイビーソース。
ジップロックに残った肉汁とバターに、ワインとコンソメ粒を入れて適当に味付ける。
小麦粉少し足してとろみを付けて完了。

ってグレイビーソースってよく作り方分からんのだよな。

9. 冷ました肉を薄切り。


熱の通りは問題無いとして、水分はどんな感じかねぇ。
ちょっと湿ってるようだぞ。



10. いただきます


キタ!美味い!

ソース無しでも、以前のように(ブログやる前)パサパサで食べるのがきついってことはない。
ジューシイとは言えないがしっとりとしてる。

味は赤身肉の獣臭が少し。ブラインの塩味は分からないな。バターの香りが少しする。

切れない筋繊維は全く無し。
普通に歯ごたえがあり、噛めばすんなりと切れる。
ハムやベーコンよりは柔らかいな。

ソースも美味し。
つけて食べるといくらでも食べられるわこれ。
これは成功と言っていいんじゃないの。

水気はブラインのおかげかバターバスのおかげかどっちだろう。
バターには半分くらいしか浸かってなかったからブラインが大きいのかな。
次回はブラインのみ、バターバスのみで比較してみよう。