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2016年3月29日火曜日

sous vide 豚バラ(角煮)

豚角煮

角煮は簡単でありながら奥深く、今日も誰かが究極の角煮を求めて研究をしていることでしょう。

豚バラブロックを大きめの四角形に切って、醤油味醂ベースの調味液で煮立たせる料理。
肉が箸でほどけるほどに柔らかく、味が染み込んで、パサパサになっていなければ勝ちです。

手法は大きく二つ。
一つは圧力鍋で筋繊維を壊して柔らかくし、その破壊後に調味液を染みこませる方法。
もう一つは弱火で長時間煮込んで柔らかくし、さらに冷ます際に細胞が縮んだ隙間に調味液を染みこませる方法。
弱火長時間の方法に sous vide でまかなえないものだろうかと。奴ら平気で36時間とか調理するし。

下ごしらえ

  • 豚バラ肉を一日ほど brine
  • 一口大に切ってジップロックに入れる
  • 醤油25ml、味醂25ml、砂糖25g の調味液をジップロックに入れる
    4パック作ったので、100ml,100ml,100g を4分割した
  • 浸水法にてパッキング


実験1 77℃9時間

1. SV 77℃ 9時間


に出ていたパラメータ。
別に調べた所、77℃はアクチンの至適変性温度のようだ。

2. 20℃の水に30分

上に書いたように角煮は冷やす時に味が染みるので、冷やしてみた。
ここは有り無しの対照実験すべきであったな。


3. 電子レンジであたため

2の時点で食べてみたけど肉が硬かったので少し温め。

結果

脂身はよく調理されている。
肉にも味は染みているようだ。
肉は固い。レンジで温めてもまだ固い。まぁ不味くはないがマイナス。
ブラインのおかげか、調味液が入ったか、水分は保っている感じ。
ゼラチンはあんまり感じなかった。

肉の固さは、アクチンの変性のせいか、冷やしたせいか、コラーゲンが未変性なせいか、どれかかな。
10時間調理なら朝に仕掛けて夜に食べられる、扱いやすい調理時間なので、これで美味く作れれば嬉しいのだが。

あ、あと調味液はちょっと甘かった。砂糖の量は減らしてよさげ。


実験2 68℃32時間

brine あんまり効果なさそうなのでやめてしまう。

68℃32時間。上のリンクで挙がっていたやつだ。




固さは随分少なくなった。
調味液を吸っている外郭部分が固くなっている。
右の写真見て分かるかな?調味液はあまり浸透せず。

脂身はしっかりと溶けていて美味い。

brineサボったせいか、長時間やったせいか、パサパサ度は増した。
しかし肉の柔らかさは大きく、77度と比較すると総合的にはこちらの方が美味しい。僅差。




実験3 70度12時間

実験1,2の間をとってみた。




脂身が全然未調理で数個食べればきつくなってくる。
もっと時間を掛ける必要がある。

柔らかさ、パサパサ度は悪い方に揃っている感じ。
70度ならアクチン変性しないかなと期待したけど変性しちゃったぽい。
アクチン変性しちゃうなら77度で短時間で作ったほうが良いであろう。


実験4 豚肩ロースブロック77度11時間


豚バラとあんまり変わらない。
食べ比べれば違いはあると思うけど。


肩ロースだとバラよりも脂が少ない。
角煮では脂身がよく調理され一番美味しい部分であるので、バラの方が良い感じである。



まとめ

結局77℃8-11時間くらいが十分に美味く、時間もさほどかからないので一番やりやすい。

特に8-11時間というのは、朝浸けて夜に、夜浸けて朝に食べるのにちょうどよい時間。
少し多めにブロック買ってきて、一口サイズに切って調味液と一緒にパックして冷蔵庫に入れておけば、出かける前に仕掛けるだけで帰宅時にすぐに食べられる。

まだ温度や調味液に工夫の余地はあるけれど、とりあえず一区切りついたと言ってよかろう。





2016年3月12日土曜日

豚ヒレブロック


豚ヒレブロック


筒型の長いヒレブロックがハナマサに置いてあって気になっていた。

全体像は写真撮り忘れてた。下の方で調理後のがあるからそれを見て。






パック

手持ちの水槽にちょうど入る長さだったので、切らずにそのままいってみる。

真空包装して売ってあるんだけど、どの程度の強度か分からんのでその
上にパックする。

Sous vide 59℃12時間

ちょっと長いので安全めで高温長時間。
熱の伝わりにくさは厚みの問題なので、長い分には関係なさそうであるが。


パックの外からの状態。



袋から取り出して、ラップを剥がしたところ。
肉汁も漏れず、空気も無さそうにぴっちり包装されていた。
これならパックしなくてもよさそうだ。



仕上げ

表面はちょっと白っぽい。


どうしようかと悩んだが、オーソドックスに表面を炙った。
一本物と見えたのは実は二つの部位を張り合わせてあったようだ。



中身、というか合わさっていた境界面。
赤味がかっていて、59℃ぽい感じである。


食べ方も考えていなかったので、薄切りにする。


ちょっと水分少なめかな。
ブラインやってなかったせいもあるが、それよりも時間長かったせいであろう。
豚ブロック59℃だと8時間くらいがちょうどよさげ。



いただきます

そのままだと豚の味のみ。水分少なめでちときつい。

食感は柔らかい。
豚の長時間だと煮物のイメージだけど、これは崩れるわけでもなく、といってハムのように弾力が強くもなく。素直に柔らかい肉。

味は豚のあの味。肉の旨味と甘みがあるけど、淡白で臭みもあるので量はきびしい。それに乾いてるし。
しかし塩や焼肉のタレを付けるだけで食べやすく美味しくなる。
煮物ぽくなんかタレに付けとくといいかなー。トンカツにしてもよさそうである。

SV中にタレ浸けできるとすぐに食べられてよいのだが、
今回は真空包装で買ってきてそのまま水槽にドボンという手軽さが売りなのでそれは無理。
大きめで買うと単価お得だしね。

手間かからない SV は下ごしらえと考えて、その後の調理を考えたほうがよさそうである。
なんかいいメニューないかな。




2016年3月7日月曜日

豚肩ロース10時間 ブライン比較

豚肩ロース

前もやったっけな?
脂身もそこそこあって、やりやすい部位です。

今回はブラインの有無で比較実験しました。


材料

  • 豚肩ロースブロック700gほど


レシピ

1. 片方を1%平衡ブラインする

時間の都合上、2日弱になりました。
なんかブラインした方がすでに柔らかくなっているような…。
そういえば気にしてなかったけど柔らかくする効果もあるんだっけ?




2. sous vide 準備

長時間やる時は先に表面をトーチで炙っとくようにしてます。
表面を焼いて肉汁を出にくくするため…というのは迷信らしい。

脂身を焼いて調理中の匂いを減らすことと、
乳酸菌など好熱性の細菌が増えて臭いを付けるのを防ぐためです。


ブラインの影響を見たいので、パッケージに入れるのは香りづけのローズマリーのみで。



3. sous vide. 59℃10時間

最初6時間で引き上げてみたところ、ブラインしてない方がちょっと硬い感じであったので伸ばしました。




4. 引き上げて少し冷ます

フィニッシングに熱を入れる際は、引き上げ直後にやると SV 温度プラスアルファになっちゃいますから冷まします。
後、熱で膨張した細胞の間に調味料が入るので、温度が下がる時に味が染みこむとか。

ただ今回はフィニッシングサボったので、冷まさなくてもよかったかもしれない。



結果

ブライン無しのもの。



ブライン有りのもの。



比較。左がブライン無し、右が有り。


どうもブライン無しの方が赤っぽくて美味しそうだ。
水気はどっちもありそうである。


食す。
ブライン無しの方は、硬いというほどではないが弾力がある。
コリコリして、焼き肉のタンみたいな食感。
味は肉のあのちょっと生臭い味ですな。
水気は気にならないけど少ないといえば少ないかも。

ブライン有りの方はひとくち柔らかい。
口の中でほろりとほどける一歩手前くらい。
味は臭み無くて薄め。かすかに塩味がするかも?
水気は十分。

そのままで多く食べるならブライン有りの方が良い。
適当な調味料付ければどちらも美味い。方向性に違いはあるが甲乙付け難し。
自分で作るなら、手間を考えるとブライン無しの方がよいかな。

脂の少ない部位だともっと顕著に差が出るかもね。