豚角煮
角煮は簡単でありながら奥深く、今日も誰かが究極の角煮を求めて研究をしていることでしょう。
豚バラブロックを大きめの四角形に切って、醤油味醂ベースの調味液で煮立たせる料理。
肉が箸でほどけるほどに柔らかく、味が染み込んで、パサパサになっていなければ勝ちです。
手法は大きく二つ。
一つは圧力鍋で筋繊維を壊して柔らかくし、その破壊後に調味液を染みこませる方法。
もう一つは弱火で長時間煮込んで柔らかくし、さらに冷ます際に細胞が縮んだ隙間に調味液を染みこませる方法。
弱火長時間の方法に sous vide でまかなえないものだろうかと。奴ら平気で36時間とか調理するし。
下ごしらえ
- 豚バラ肉を一日ほど brine
- 一口大に切ってジップロックに入れる
- 醤油25ml、味醂25ml、砂糖25g の調味液をジップロックに入れる
4パック作ったので、100ml,100ml,100g を4分割した - 浸水法にてパッキング
実験1 77℃9時間
1. SV 77℃ 9時間
に出ていたパラメータ。
別に調べた所、77℃はアクチンの至適変性温度のようだ。
2. 20℃の水に30分
上に書いたように角煮は冷やす時に味が染みるので、冷やしてみた。
ここは有り無しの対照実験すべきであったな。
3. 電子レンジであたため
2の時点で食べてみたけど肉が硬かったので少し温め。
結果
脂身はよく調理されている。
肉にも味は染みているようだ。
肉は固い。レンジで温めてもまだ固い。まぁ不味くはないがマイナス。
ブラインのおかげか、調味液が入ったか、水分は保っている感じ。
ゼラチンはあんまり感じなかった。
肉の固さは、アクチンの変性のせいか、冷やしたせいか、コラーゲンが未変性なせいか、どれかかな。
10時間調理なら朝に仕掛けて夜に食べられる、扱いやすい調理時間なので、これで美味く作れれば嬉しいのだが。
あ、あと調味液はちょっと甘かった。砂糖の量は減らしてよさげ。
実験2 68℃32時間
brine あんまり効果なさそうなのでやめてしまう。
68℃32時間。上のリンクで挙がっていたやつだ。
固さは随分少なくなった。
調味液を吸っている外郭部分が固くなっている。
右の写真見て分かるかな?調味液はあまり浸透せず。
脂身はしっかりと溶けていて美味い。
brineサボったせいか、長時間やったせいか、パサパサ度は増した。
しかし肉の柔らかさは大きく、77度と比較すると総合的にはこちらの方が美味しい。僅差。
脂身が全然未調理で数個食べればきつくなってくる。
もっと時間を掛ける必要がある。
柔らかさ、パサパサ度は悪い方に揃っている感じ。
70度ならアクチン変性しないかなと期待したけど変性しちゃったぽい。
アクチン変性しちゃうなら77度で短時間で作ったほうが良いであろう。
しかし肉の柔らかさは大きく、77度と比較すると総合的にはこちらの方が美味しい。僅差。
実験3 70度12時間
実験1,2の間をとってみた。
脂身が全然未調理で数個食べればきつくなってくる。
もっと時間を掛ける必要がある。
柔らかさ、パサパサ度は悪い方に揃っている感じ。
70度ならアクチン変性しないかなと期待したけど変性しちゃったぽい。
アクチン変性しちゃうなら77度で短時間で作ったほうが良いであろう。
実験4 豚肩ロースブロック77度11時間
豚バラとあんまり変わらない。
食べ比べれば違いはあると思うけど。
肩ロースだとバラよりも脂が少ない。
角煮では脂身がよく調理され一番美味しい部分であるので、バラの方が良い感じである。
まとめ
結局77℃8-11時間くらいが十分に美味く、時間もさほどかからないので一番やりやすい。
特に8-11時間というのは、朝浸けて夜に、夜浸けて朝に食べるのにちょうどよい時間。
少し多めにブロック買ってきて、一口サイズに切って調味液と一緒にパックして冷蔵庫に入れておけば、出かける前に仕掛けるだけで帰宅時にすぐに食べられる。
まだ温度や調味液に工夫の余地はあるけれど、とりあえず一区切りついたと言ってよかろう。
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